親知らずの移植に際して
投稿日:2017年11月27日
カテゴリ:治療
今日も患者さんに提供して頂いた写真を紹介して、親知らずの移植についてお話したいと思います。
さて、ここでも何回か書いていますが、移植ドナー歯の適用条件の一つとして「根が比較的単純な形態をしていること」というものがあります。
このレントゲン写真は右上の親知らずですが…これを見る限りそんなに複雑な形態をしていないように見えます。
しかし実際に抜歯してみると…
え…けっこう複雑な形態…。。
フック船長の手?みたいなことがあります(個人的な感想なんでスルーして下さいw)
…なぜでしょうか。
通常のレントゲン写真は二次元なので、X線の同一入射線上にあるものは同一部位に写ります。
つまり、手前にあるものと奥にあるものが重なって見えるということです。
実は上の写真はレントゲン写真を撮影した方向の90°横方向から見たものなんです。
で、次の写真がレントゲン写真と同じ方向から見たもの。
こう見ると単純な形態に見えますね!
何をお伝えしたいのかと言うと…通常のレントゲン写真のみでドナー歯として適切かどうかの判断は難しいということです。
これだけ根が湾曲していると根を保存して抜歯できないかもしれないし、移植先として形成しておいた場所に収まらない可能性も高くなります。
結果、ドナー歯が生着しないなんてことも…。。
こうした事態を避ける為にはCT写真は必須だし、前もってドナー歯のレプリカを作製することが出来ればより安全です。
安心・安全の歯牙移植を行う為のシステムを現在検討しています。
ただ、それには処置毎にコストがかかるので保険診療では難しくなってしまいます。
将来的には歯牙移植は自由診療のみで行う予定ですが、それは患者さんのことを考えてのことなんです。
最後に。
今回抜歯した親知らずは移植の為ではないことを明記しておきます(笑)
これらのレントゲン写真などは全て、患者さんの了承を得て掲載しております。
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