親知らず移植(自家歯牙移植)
このページの目次
親知らずを抜いて、欠損部分に移植する歯牙移植を症例つきで解説
「自分の歯を極力残したい」とは、皆さんが思われることですよね。その為に様々な治療によって歯を救うことを最優先しますが、歯の状況によってはどうしても叶わないこともあります。抜歯処置を行ったところには、ブリッジ、義歯(入れ歯)、インプラントなどで歯を補う処置方法が主に選択されます。これらの処置方法の他に、条件が揃っていれば「歯の移植」という選択肢をご提案できる場合があります。
歯根膜のチカラ
移植において最も大切な組織、それが「歯根膜」です。
歯根膜(しこんまく)とは、歯を支える歯槽骨と歯根の間にあってクッションの役割をしている線維組織のことです。歯周靭帯(じんたい)とも呼ばれます。
歯根膜には再生機能があり、移植先で骨組織を作ることができます。また、骨組織のみならず歯周組織の再生も期待できます。
自家歯牙移植において移植歯が生着するのはこの再生機能によるものです。
自家歯牙移植のメリット・デメリット
メリット
- 歯根膜の存在
- 咬む力のコントロールがしやすい
- 若年者にも適用できる
- アレルギーがない
デメリット
- 条件を満たした歯がないとできない
- 生着しないリスクもある
- 必ずしも予知性が高いとは言えない
- 手技として難しい
自家歯牙移植(親知らずの移植)の症例
初診でいらっしゃったときのレントゲン写真です。左下の一番奥の歯に痛みと腫れが出ていたので、診査診断をした後、被せ物と土台を除去しました。
このように、ほとんどご自身の歯が残存していない状況でした。これではラバーダムをかけることができませんし、仮に根管治療が上手くできたとしても残存歯質が歯茎の上に存在しないと予知性の高い治療は出来ません。
残存歯質を歯茎の上に出す治療法としてエクストルージョンという方法があります。
しかし、今回の場合は上の歯との隙間が少なく装置のセットが難しいということと、患者さんが以前から右下の親知らずの抜歯を考えていたということから自家歯牙移植を選択しました。
親知らずの抜歯と移植
-
ドナー歯として抜歯した右下の親知らずです。
-
左下の一番奥の歯を抜歯した後に移植しました。
-
▼移植前
-
▼移植直後
根管治療開始
-
移植後すぐの根管治療はできませんので、移植後2週間ほどしてから根管治療を開始します。
-
根管治療終了。歯科マイクロスコープを使って精密根管治療を行います。
移植後3か月のレントゲン写真。移植直後のレントゲン写真と比べてもらうと、歯の周りが白くなっているのがわかると思います。これは移植歯の周りに骨が出来ていることを表します。
治療終了後のレントゲン写真
左下の一番奥の歯を抜歯して右下の親知らずを抜歯&移植し、治療が完了しました。移植歯の周囲にもしっかりと骨ができ、抜歯した部分をご自身の歯(親知らず)で補うことができました。抜歯した部分の処置としてはブリッジやインプラント、入れ歯などで歯を補うのが従来でしたが、そこに「移植」という選択肢も加えて考えてみてもいいかもしれませんね。
▼上記症例の患者様データ
年齢・性別 | 40歳女性 |
治療期間 | 約2か月 |
治療回数 | 7回 |
治療費 | 約1万6500円(税込) |
考えられるリスク | 生着しない場合がある。通常の歯と比べると予後が悪い場合がある。 |
歯の移植の適用範囲
歯牙移植のドナー歯として基本的には親知らずが使われることが多いのですが、この適用には沢山のハードルがあります。
ドナー歯と受容側の大きさのある程度の一致、噛み合う反対側の歯とのスペース、ドナー歯がある程度の形態を維持したまま抜歯できるか…などなど。
松戸で歯の移植をお考えの方は松戸デンタルへご相談ください
このように松戸デンタルクリニックでは、条件が合えば歯の移植を行なうことでインプラント治療を回避するという選択肢を提供できます。松戸でインプラントを薦められたが、他の治療の選択肢がないか困っている方、歯の移植を検討なさっている方はぜひ松戸デンタルクリニックへご相談ください。